在宅医療を選択する前に考えてほしいこと

在宅医療は、患者が住み慣れた場所で医療従事者による処置を受けられる点が最大のメリットです。入院生活・治療時には、患者の方々が様々な制約を感じる場面が多々あります。しかし、自宅で療養する際には、そのような煩わしさがなく、普段通りの生活を維持しやすいです。
但し、患者の身内が看護師に成り代わって日常生活をサポートしなければなりません。

要介護者のケアという無理難題に手探りで取り組んでいる世帯は多いです。介護する側である身内が高齢を迎えている場合には、体力的にも限界があります。
時には身内が療養上のリスクファクターになることもあります。特に認知症高齢者の自宅療養においては、介護をする側の心無い言動が精神的な負担となって認知症周辺状況を急速に悪化させてしまう場合があるのです。
このように心身共に健康な身内の協力が不可欠です。老老介護となってしまっている世帯や身寄りのない高齢者では、在宅療養を続けることは極めて困難だといえるでしょう。

在宅医療は、緊急時の迅速な処置が難しいため、24時間体制で対応している医師や訪問看護サービスとの連携体制の構築も必要です。若い開業医達の参入によって在宅を専門とする診療所が少しずつ増えてきていますが、地方都市の中には自宅から自動車で30分圏内に存在する担当医を見つけることは難しい場合もあるため、しっかりと家族で話し合うようにしましょう。
また、医師と対面して診療方針や人柄を確認してから在宅医に適しているかを確認する作業も大切です。医師との意志の疎通が上手くいかず、信頼関係を構築できなければ、療養に差し支える危険があるでしょう。